君と、ゆびきり
☆☆☆

「写真、撮ろうよ」


色違いの指輪のはめているあたしは風へ向けてそう言った。


あたしたちは今近所のファミレスに来ていた。


「また?」


風はパフェを食べようとしていた手を止めて、あたしを見る。


「記念だよ、記念」


あたしはそう言い、半ば強引に風の隣に座ると、パフェも入れて携帯カメラで写真を撮った。


「こんなところ映したって記念にはならないだろ?」


「そんなことないよ。このパフェは期間限定なんだから」


あたしはそう言い、自分の席に戻って携帯電話をポケットにしまった。


最近では風に会うたびにこうして写真を撮るようにしていた。


その写真はすぐに自宅で印刷して、部屋のコルクボードに飾るのだ。


そうしていれば、あたしは嫌でも風の事を忘れる事はない。


「風、なにか悩み事でもある?」


自分の目的を果たしたあたしは、さっきから気になっていたことを聞いてみた。


病院で見る風はいつも笑顔なのに、今日の風はさえない顔をしている。
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