君と、ゆびきり
忘れてほしい
それでも時間は過ぎていく。


あたしの気持ちは最悪で、風に連絡をしても返事はなく、相変わらず勉強は難しい。


「なに浮かない顔してんの」


玲子にそう言われ、あたしは何度目かのため息を吐き出した。


今日は修学旅行の最終日。


修学旅行の3日間、あたしは笑った記憶がなかった。


「ほら、笑って」


玲子があたしの頬をつまみ、左右に引っ張った。


「痛い痛い!」


結構強い力で引っ張られた頬はジンジンと熱を持つ。


あたしは涙目になって玲子を睨んだ。


玲子は寂しげにほほ笑む。


「千里が笑わないと、あたしも楽しくないよ」


「……ごめん、玲子」


それでもあたしは風の事を考えてしまい、うまく笑う事ができなかったのだった。
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