君と、ゆびきり
卒業式
この世界はあたしが作り出したもの。


チアキはあれ以来あたしの前には現れていない。


あたしは空を見上げた。


真っ青で綺麗な空に飛行機雲。


世界には、飛行機雲のあっち側にいる人と、こっち側にいる人がいる。


じゃぁ、あたしは一体どこにいるんだろう?


きっと、あっち側でもなく、こっち側でもない。


少し特別な場所にいるんだろう。


目の前に風が入院している病院が見えて来て、自分の鼓動が早くなるのを感じていた。


風の頬を叩いてしまった右手がジンジンと痛んでくる。


風に会って、なんと言えばいいんだろう?


まずは謝らなきゃならないけれど、うまく言葉が出て来るだろうか。


あたしはギュッと右手を握りしめて院内へと足を進めたのだった。
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