君と、ゆびきり
ありがとう、風
風は人生のすべての課程を成し遂げた。


人よりも随分早いけれど、人生の卒業を迎えたのだ。


名前を呼んでも答えない。


手を握っても握り返してくれない。


何がどうなっているのかわからなくて、あたしは混乱した。


どうしたの?


一体なにがあったの?


ついさっきまで目を開けて一緒に話をしていたじゃない。


担当医が駆けつけて、風の両親がかけつけても、あたしはただ呆然としてその場に立ち尽くしていただけだった……。
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