君と、ゆびきり
あたしはギュッと拳を握りしめて俯いた。


足が一歩も動かない。


風に会いたい。


だけど会いたくない。


そんな矛盾した感情がグルグルとあたしの頭の中を回っている。


今日は帰ろう。


未来は変えられなかったんだ。


きっと、明日になればまたあたしは繰り返しの日々に戻るだけ……。


そう思った時だった。


突然病室のドアが開いた。


出て来たのはボロボロと泣いている風のお母さんで、あたしはその場から動けなくなってしまった。


「千里ちゃん!」


風のお母さんがあたしを見るなりそう言い、あたしの体を抱きしめてきたのだ。


「きゃっ!?」


突然の事で体のバランスを崩し、倒れそうになるのを必死でとどまった。
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