君と、ゆびきり
小学校からの親友の玲子も同じ春ケ丘高校に進学が決まっているし、寂しさなんてきっとすぐに忘れてしまうだろう。


学校へ到着すると、すでにクラスメートたちは登校してきていて、どこか寂しげな表情を浮かべている子も多かった。


中には大切な友達と離ればなれになってしまう子もいるんだろう、どこからか鼻をすするような音も聞こえてきていた。


いつもと違う雰囲気の教室に緊張しながら席に座った。


「千里、おはよ」


先に来ていた玲子がそう声をかけて来た。


「おはよう」


あたしは答えて笑顔を浮かべる。


だけど、少しぎこちなくなってしまったかもしれない。


中学校生活が今日で終わると思うと、やっぱりいつも通りにはいかないみたいだ。


「卒業しちゃうね……」


「どうしたの玲子、寂しいの?」


呟くような小さな声で言った玲子に、あたしは驚いてそう聞いた。


「そりゃぁ、少しは寂しいよ。みんな別々になっちゃうんだから」


「そうだけど……でも大丈夫だよ。あたしと玲子は同じ高校なんだから」


あたしはそう言い、ニコッとほほ笑んだ。


それは自分自身に言い聞かせる言葉だった。
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