君と、ゆびきり
メマイ
卒業式が終わってから、クラス全員で集合写真を撮った。


卒業証書を持って写真を撮るのは初めてのはずなのに、なぜだか経験した事があるような、妙な感覚にとらわれた。


「今日はどうする?」


学校にお別れをして校門を出ると、真っ先に玲子がそう聞いて来た。


「えっと……」


あたしはすぐに返事をしようとしたが、言い淀んでしまった。


卒業式の後、本当なら友達とパーっと遊びに行く予定だった。


だけどあの少女を見てからあたしの気分はすぐれなかった。


俯き、コンクリートを見つめていると、メマイを起こしそうだ。


「千里、顔色悪いよ?」


「うん……。ごめん、今日は真っ直ぐ帰るね」


卒業後はしばらく会えなくなってしまう友人もいるから、誘いを断るのはとても申し訳なかった。


けれど、今の状態でどこかへ行っても迷惑をかけるだけだ。


「いいよ。今日が無理なら明日遊べばいいんだし、ね?」


「うん。ありがとう玲子」


あたしはそう言い、1人歩き出したのだった。
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