拾われた猫。Ⅱ
第六章

〝翔〟




目を覚ませば、今や見慣れたいつもの天井。



頬に擦り付けられる柔らかいフワフワの毛。



温かい体温をぎゅっと抱きしめる。



「にゃぁ」



可愛らしく鳴くノアに「おはよう」と言って離してやる。



寝苦しくない程度には涼しくなったこの頃は寝つきもよく、起床もスムーズに出来るようになった。




障子を開けると、木々は赤や赤茶色に衣替えを始めている。




……ここに来てからもう半年経ったんだ。



しみじみと感じる。



間者事件以来、新選組は平和な日々を送っていた。



でも、私には少しの悩みがある。




それは───…。




「おはようございますっ、雨さん!」



毎朝、私が起きた時を狙って私にしがみついてくるこの人は今日もまた然り。



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