イジワル社長は溺愛旦那様!?

公園で一時間ほどおしゃべりをして、それから雑貨屋を流し見し、昔のパニックホラー映画のDVDが安く出ているのを発見して盛り上がり、なんとなく見かけたケーキ屋でひとつ五百円もするマカロンを買い、自宅に戻ってペペロンチーノを夕妃が作ってふたりで食べた。

お茶を飲みながらソファーで映画を観て、なぜこんなものが子供の頃は恐ろしかったのだろうと笑い、また、お茶を飲み、マカロンが美味しいとはしゃいで、気が付けば夕方になっていた。


窓の外に大きな太陽が沈んでいく。

ふたりでそれをじっと眺めて、完全に日が沈んで、自動的にリビングに明かりが灯るその直前。ふたりは吸い寄せられるように唇を重ねていた。

触れるだけのキス。
じっと見つめあった後、湊は夕妃の頬を指でなぞる。


「今晩……ずっと一緒にいたい」


感情を押し殺したような湊の声に、夕妃は息をのむ。


(そ、それって……えっ!?)


「ああ、約束は守る。あなたを傷つけるようなことはしない」


ということは、要するにそういうことはしないということだろうか。


「残念?」


クスッと湊が笑う。
ホッとしつつも残念かと言われれば、そんな気がしてくる。


「エッチな意味にとって、悪い子だね」


からかうような眼差しに夕妃の顔は真っ赤になった。


(ちちちち、違いますけど……! いや、違わない……って、いやいやいや!)


アワアワと取り乱す夕妃を見て、湊は優しく微笑んだ。


「なにもしない。ただ、抱かせてほしい。あなたという存在をこの手で感じながら眠りたいだけだ……」


そして夕妃の体は、ゆっくりと湊に抱きしめられていた。


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