イジワル社長は溺愛旦那様!?
【大したことはできないですけど】
【もっと気楽に、肩の力を抜いて】
【今日は私に甘えてみてはいかがですか?】
数日前、湊に言われた言葉だ。
「夕妃さん……」
微笑みかける夕妃を、湊はじっと見つめる。
それから少し困ったという風に笑って、目を伏せた。
「そういえば俺も、甘えてなんて生まれて初めていわれたかもしれない」
【初めて?】
「ええ」
そして湊は脚を組み、右腕を伸ばして夕妃の肩を抱くと、なんとそのまま身を寄せて、夕妃の頭に頬を寄せる。
(ちっ……近い!)
思わぬ接近に、夕妃の頬が一瞬で染まったが。
「ではお言葉に甘えて……こうしていいですか?」
湊のほんの少しだけ甘えた声に、いろんなものを飲み込んでしまった。
(これも彼の計算な気がするけど……まぁ、いいか)
夕妃は笑ってうなずいた。