イジワル社長は溺愛旦那様!?
確か今来た道に、老舗の和菓子屋の店舗があったはずだ。


「別に手ぶらでいいって言ってたよ?」
「そうは言ってもキャットフードだって貰い物だし」


夕妃は朝陽にここで待つように告げて、Uターンして駆け出していた。



老舗和菓子屋の羊羹を買った夕妃は、素直に夕妃が戻ってくるのを待っていた朝陽に、紙袋を朝陽に押し付けるように渡す。


「これ、お渡ししてね」
「へーい……って、羊羹かよ」


うえーという顔をする朝陽を、夕妃はため息をつきながら見上げる。


「日持ちもするし横流しにも最適だから羊羹は便利なの」
「なるほどねぇ……」


朝陽はうなずいて、ようやく夕妃と並んで歩き始める。


「で、お店ってどこにあるの?」
「地図で言うとのあたり。俺も行くのは初めてなんだよなー」


スマホを見ながら朝陽があたりをきょろきょろと見回したあと、

「あった。あそこ!」

はしゃいだように声を上げた。


「どこ?」


朝陽が指さした先を、夕妃は目で追って息をのんだ。


「チェーロっていうんだ。洋食屋なんだって」


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