イジワル社長は溺愛旦那様!?
「姉ちゃんは肉より魚派なのに、俺のことばっかりだったからなぁ……そろそろ自分のことも考えろよ。俺だって男だし、いつまでも姉ちゃんの世話になるつもりはないし」
その口調はじつにさっぱりとしていて、なぜか夕妃の胸は締め付けられた。
(……朝陽くん、まさかの姉離れの予定なの?)
若干ショックを受けながら長ネギを切る。
「――落ち込んでるの?」
(そりゃね……)
うなずくと、糸こんにゃくを洗っていた朝陽がふっと笑う。
「今すぐってわけじゃないよ。まぁとりあえずその話も、神尾さんが帰ってきたら話そう」
それから一時間ほど経って、夜の七時を回って湊が帰ってきた。
「姉がお世話になりました」
リビングで夕妃とお茶を飲んでいた朝陽が、即座に立ち上がって礼儀正しく頭を下げる。
(朝、あんな感じで別れたから、ちょっとドキドキするかも……)
自分を煽るとこうなるのだと、意地悪に甘く翻弄されたことを思い出したが、朝陽もいるので慌てて顔の表情を引き締める。