イジワル社長は溺愛旦那様!?
「いえ」
湊はネクタイを緩めながら穏やかに微笑み、すっかり夕食の準備ができているダイニングテーブルの上を見つめた。
「とりあえず食事にしましょうか。せっかく準備をしていただいているし、話はそのあとで」
「そうですね」
朝陽も同意して、三人でテーブルにつくことになった。
三人の食事は楽しかった。
もちろん夕妃は聞き役だが、楽しげに笑う湊と朝陽を見ているだけで嬉しくて仕方なかった。
夕妃も朝陽も、家族の縁が薄い。そして血が繋がっていても、四年前までほぼ交渉がなかったわけで、他人から見たらいびつかもしれない。
だが湊にいたっては一週間前の事故で知り合ったという、まったくの他人だ。
(家族ってなんだろう)
夕妃は明るい食卓を楽しみながら、どうしても、そんなことを考えずにはいられなかった。
後片付けは朝陽と湊がほぼしてくれた。
その間に、夕妃がお茶の準備をして、リビングへと移動する。
「まず、俺からいい?」
最初に口を開いたのは、朝陽だった。
「俺、寮に入る」
(――えっ!?)
夕妃は朝陽の言葉に、ソファーから腰を浮かせた。