イジワル社長は溺愛旦那様!?

昨晩は泣いてしまったが、今晩は朝陽の好きなものをテーブルいっぱいに並べて、楽しく朝陽を見送りたい。


(……がんばろう)


夕妃は心の中でガッツポーズをして、それからリビングに戻り、今日一日のタイムスケジュールを考えることにした。





(よし、これでお願いしよう)


湊に借りたノートパソコンで料理の材料の注文を済ませた夕妃は、ふうっとため息をついて、エンターキーを押した。

日々の食料などは、すべてネットスーパーの宅配を頼んでいる。午前中までに頼めば、夕方までには配送してくれるのだ。

深夜にひとりで出かけるのは言語道断だが、昼間の買い物くらい自分で行っていいのではと思ったが、『それは絶対にダメだ』と湊から強く反対されていた。

夕妃を脅かすようなことは口にしない湊だが、その反応で、夕妃はなんとなく自分が置かれている状況を理解した。

かつて婚約者だった男は、どんな意味かは分からないが、いまだに自分をあきらめていないのかもしれない、と――。



思えば、彼――桜庭麻尋(さくらばまひろ)は、出会ったときからどこか不安定な男だった。


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