イジワル社長は溺愛旦那様!?
逆に一緒に眠ったほうが、仕事からプライベートへの切り替えがうまくできたかもしれない。
離れて眠ると、頭が常に仕事モードで、寝付けなくなるのだ。
(湊さんに言って、やっぱり一緒に眠りたいって言おうかな……)
初夜云々はいったん置いといて、せめて愛する人のそばにいられたら、辛さも紛れるような気がする。
(うん、そうしよう……)
夕妃はベッドから起き上がると、二階の部屋を出て階段を降りる。
深夜ではあるが、湊のベッドルームから明かりが漏れていた。
ドアがきちんとしまっていなかったらしい。
(湊さん、起きてるのかな……?)
ドアを押し、中の湊に声を掛けようとして、ハッとした。
彼はベッドの中で、上半身を起こし、膝の上に置いた参考書を眺めながら、付箋を貼っていた。
夕妃がドアを開けたことにも気づかない。
かなり集中しているようだ。
そして、かけている眼鏡を外して、目頭を指で押さえている。
(あれって……私のためだ……よね)
その様子に、夕妃はグッと胸がつまり、涙腺が緩んだ。