イジワル社長は溺愛旦那様!?

結局、湊には自由行動をとっていいと言われた夕妃だが、ホテルの部屋に戻って東京にいる恭子に連絡を取り、仕事をすることにした。


(今日一日にもお給料をいただいているんだから、やっぱり働かないと……)


今日の急な出張で、湊の仕事は必然的に溜まっていくのである。

相手先にスケジュールを確認しつつ、調整していく。
そうやって雑務をこなしていると、あっという間に夜になった。


「おなか……すいたなぁ……今頃湊さんは、料亭で美味しいもの食べてるんだよね……」


しかも京都の舞妓さんを侍らせているはずなのである。


「むむ……」


仕事上、湊に妬いたりすねたりしないように気を付けているが、あくまでも気を付けているだけで、なんとも思わないわけではない。
我ながら難しい女心だ。


思わず尖った唇を自分でムニムニとつまんだ夕妃だが、ここでひとりで妬んだところで、どうにもならないのはわかっていた。


「ふんっ、私だっておいしいもの食べちゃうもんねっ……」


バッグをつかみ、夕妃はホテルの部屋を出る。


だが――。
結局夕妃はひとりで美味しそうなレストランに入るわけでもなく、たまたま通りがかったおばんざい屋でいくつか総菜を買い求めただけだった。


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