恋愛白書
「あたし、ちょっと!」


それだけ言って部屋を出た。

さすがにそのままあの部屋にいれるような
そんな強靭な心ではなかった。


「あれ?やしなちゃん?」


走っていたら、部屋から出てきた人に声をかけられる。


「…神谷くん」


どうやらここは神谷くんの部屋だったらしい。


「やしなちゃん、泣いてる」


神谷くんがあたしの前に歩いてくる。


「あれ、いつの間に」


自分でも泣いてることにきづかなかった。


「泣くなよ」


神谷くんが自分の胸にあたしを抱き寄せる。


「ちょ、神谷くん!?」

「泣くなよ。言ったじゃん、幸せにならないなら奪うって」

「まって、離して」


神谷くんの腕のなかから逃れようとするけど
男の子の力には叶わない。


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