恋愛白書
「何やってんの」


後ろからすんごい知ってる声が聞こえた。


「…丈」


いつもよりとてもとてもひくいその声に
ちょっと緩んだ神谷くんの腕から抜け出して
彼を吹っ飛ばす。

すごい勢いで吹っ飛ばしてしまったようだ。


「すげぇ」


神谷くんが飛んでった方向を見て丈がボソッと言う


そう言ったかと思えば今度は


「抱き合うなら別の場所にしたら?俺の部屋の前とか悪趣味だろ」


あたしに向き直って冷たく言い放つ。


勘違いされてることに気付く。


何も言えないあたしに背を向けて
丈が歩き出す。


このまま勘違いされたままじゃダメだ。

こんなの、よくない。


諦めない。

そう言ってくれた丈に失礼で。

でも、篠原さんの告白は断ってなくて。
わけがわからなかった。



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