チューリップ
及川は俺に歩み寄ると手紙を俺の体に押しつけた。


「梨華の想いを踏みにじらないで…。」



梨華がどんなに俺たちを思ってくれてたかなんて考えなくてもわかる。



俺も陽介も菜々子も
クラスの奴ら全員があいつに救われた。




押しつけられた手紙をゆっくり手に取る。



震えそうになる手を必死に抑え、高鳴る胸を落ち着かせて



少ししわが寄った手紙の封を切った。





「ありがとう…。」


及川がそう呟いて校舎へ戻っていく。



いや、お前がいなきゃ俺は梨華の心を見てあげることはできなかった。


ありがとな。








『リュウへ


この手紙を読んでくれてありがとう…』




それから俺は梨華のまっすぐな言葉を

ひとつずつ胸に刻んだ
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