チューリップ
「仕事の方も忙しい時期で、それに加え由香里の葬式の準備、親戚への振るまい、隆太のそばにいてやれる時間はまともにありませんでした。


高校生になったからといって甘えていたのかもしれません。



何歳になっても、大切な人を失う悲しみは緩和されることなんてないのに。」



岩城先生と目が合うと、先生は少し目を大きくしてからハンカチを差し出した。



滴が頬を伝ってテーブルに落ちて、涙を流していることに気づく。




大切な人がいなくなって

心が折れてしまうかと思った。



自分だけが生きてる意味が分からなくて

居場所を見つけられなくて

誰かにすがりつかたくて


でも

出来なかった。



もし自分の存在を

否定されたら


本当に生きていけない気がしたから




リュウもそうだったの?


1人で

必死に耐えてたの?
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