チューリップ
結局俺は振り返ることができず、その場を立ち去った。







梨華がどんな思いで叫んだのか


どんな風に俺の過去を感じたのか



こんな俺でもわかるからこそ、梨華を見ることができなかった。











親父にナイフを投げつけられたとき、怒りと苦痛に歪む親父の顔を見ながら心に誓ったこと





それは









俺は絶対に恋なんてしない。








人を信頼するから、人は傷つく。



自分の感情さえ押し殺していれば、それだけで生きていける。









俺が親父から学んだのはこんなことだった。















でも



俺にはわからなくなっていた。






梨華、俺はお前を信じていいのか?










俺は




どうすればいい?
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