チューリップ
つながる想い

よみがえる記憶 〜梨華〜










見渡せばもう職員室には先生は数人しか残っていなかった。



無駄に広い職員室がさらに広く感じる。






「梨華!!早く帰ろう!!」


遠くの席から私に叫んできたのは茉莉。茉莉は理科の教師で、3年3組の担任でもある。とっても明るくて優しくて、今では大親友。





「うん!ごめん、今行く!」



私はそう返事をして荷物を急いで鞄に詰めた。





「遅い!話したいことがあるって言ったのは梨華の方でしょー!?」













今日は5月21日。私がきてからちょうど2週間がたった。



だんだん授業のやり方や先生としての仕事も覚えてきて、6組の生徒達とも仲良くなれてきた。




リュウもやっぱり相変わらず距離はおかれてるけど、どんどんいい方向に向かってる気がする。


最近ではちゃんと毎日学校に来てるようだし、たまに笑顔も見れる。
リュウが笑うとすごく嬉しくて、目がリュウを追ってしまうのが嬉しい悩みでもあるくらい。






そんな穏やかな日常が続いていた。



いや、続くはずだったのに…。










幸せはいつだって突然逃げてしまう。
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