Be Girl-翼のゆくえ-
今この人がいなくなる事が寂しいのは確かだけど、涙の理由はそうではない。

知り合ってから今日までのケンジの心情を思うと、たまらない気持ちになった。

「俺と話をするようになって、明るくなって、オシャレになって。どんどん変わっていくお前を遠くから見たり近くでみたり。そうやっている間に、何だかお前のことばっかり考えるようになって…」

そう言ってケンジは黙り込んだ。
ただ、ケンジの口から発せられたその言葉に、リンは救われた

自分を助けてくれた。そして、変わっていく自分を認めてくれた。

大好きだったケンジとずっと一緒に居たいと思った事。

それは確かで、そうなりたいと本気で思うようになっていた。

日が経つにつれて、どんどん膨らんでいくように。

けれども、今この時がリンにとっては最も幸せな瞬間だった。

大好きな人が、自分のことを大好きでいてくれる。
これ以上の幸せはない。
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