こいつ、俺の嫁。




あたしの鈴がテツの鞄についてる。




それだけで高鳴る鼓動はきっとテツが大好きだという証拠。




あたしは嬉しくて自分の鞄を抱き締めた。




すると座り込むあたしを黒い影が覆う。




ゆっくりと見上げると、テツがドアに両手をつけて逃がさないとばかりにあたしをテツとドアに挟んだ。




「じゃ、こっから本番な」


「…っ!ほ、本番もリハもないわ!アホ!」




近付いてくる顔に思いっきり抱き締めていた鞄を投げつけた。




大丈夫。
手とか足を怪我したらバレーできないけど、顔は鼻血出てもバレーはできるから。




たまに顔面レシーブしてる小橋くんとか見てたし。




腰が治るとずっと履いてた靴を脱いで立ち上がった。




そして床に倒れて悶えるテツに近付く。




「……テツ」


「あ?なんだ……よ」




ちゅ




テツの頬に軽くキスをする。




「鈴、ありがとね」




それだけいうと窓から自分の部屋に帰った。




最悪の文化祭だったけど、最後は最高の文化祭になった。




来年はこの鈴が二つになってるといいな。




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