こいつ、俺の嫁。
あれから春高はベスト16という原高バレー部創設以来の最高成績で幕を閉じた。
春高が終わると同時に木嶋先輩達3年生は引退。
先輩達の受験が終わってからOB戦をやった。
毎年恒例らしいキャプテンからの愛の100本スパイクをレシーブする練習では、成宮先輩が体育館の床と一体化していた。
テツは余裕で全部受け止めてたけど。
反塚先輩は『女性の紳士な口説き方講座』を後輩にやって、麗さんに表に出されてた。
そんなマネージャーの麗さんも部員全員の背中を勢いよく叩いて引退していった。
あたしとテツの在校生は春休み前のテスト勉強に追われている内にあっという間に3年生の卒業式がやってきた。
「いい!?ちゃんとめんどくさがらずにご飯は自分で作ること!
プロの選手になるんだったらまずは健康な体作りからしていかないとね!
めんどくさいからってスーパーのお惣菜ばっかり食べないこと!」
「…あぁ」
「あといくら東京が暑いからってクーラーつけっぱなしで寝ないこと!
剣ちゃんすぐ風邪ひくんだから」
「…あぁ」
「ほんとに分かってる!?もう心配だなぁ…」
「ガキじゃねーんだから大丈夫だろ」
「鉄也は黙って」
駅のホームで麗さんが木嶋先輩に耳が痛くなるほど一人暮らしの注意点を言っている。