溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
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「それで、今度ドバイに行こうと思っていてね」
「ドバイに?すごいですね、行ってみたいな」
「仕事半分、遊び半分って感じだから千夏さんも連れていけたらいいけど……日程的に仕事があるなら無理強いはできないね」
「残念です」
心から残念だと思うのは、1度は行ってみたいその国に行く機会を失ったから。
もちろん彼と一緒に旅行をしてみたかったというのもあるけれど……煌びやかな国で華やかな彼と歩く自信がまだないから、心の片隅でホッとしている自分もいる。
仕事終わり、木曜の夜。
車高の低い高級車の助手席で、満たされたお腹を休める。
今夜は中華だった。フカヒレの姿煮をたくさん食べさせてもらったから、明日はきっと肌艶がいいはず。
今までのどのデートよりも食事を満喫できた気がする。自分の気持ちを再確認できたのと、靄にかかっていた思いを吹っ切ると決めたから。
それもこれも、葛城社長と過ごした土曜の4時間があるからだとしたら、感謝しないといけないな。