溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~

 ブルーメゾンのフロアに戻れば、受付の女の子が丁寧に頭を下げた。
 1人は新卒採用された子で、他の2人は2年前に雇用された子だったはず。そして揃って社長を気に入っているのが見え見えだ。


「で、名刺もらったの?」

「ええ、初めてお目にかかったので。そういえば、謝罪の品としてサッカー観戦のチケットをお持ちになられたようなのですが、お断りしました」

「OK。それでいいよ。また何かあれば教えてください」


 お疲れさま、とやんわり微笑むと、社長はエレベーターで上層階へ姿を消した。



 ブルーメゾンが都内一等地に保有しているこの自社ビルは、下層階のコンビニやクリニック、銀行やレストラン等の利用者、そして中層階に入っている企業で働く人たちでいつも賑わっている。

 そして、上層階にはブルーメゾン本社と関連企業本社。
 社長室のフロアは50階に設けられているけれど、限られた人しか足を運ばない。 


 エレベーターの回数表示が50階で停まったままなのは、社長室へ戻ったからだろう。



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