溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~



 全く動じない社長も、さすがに少しは堪えているらしい。

 社長配信のTV会議があると、全社員に緊急通達が出たのだ。四半期の会議を配信することはあるけれど、それ以外に社長自ら動くことはほとんどなかった。

 それだけ、今回の件はよろしくないのだろう。


 通達を受けて、社内は騒然としている。
 社長の口から何が語られるのかと気になって仕方ないのは、私も同じだ。




「皆さん、お疲れさまです。いつもご尽力くださって、本当にありがとうございます」

 配信時間になって、社長が話し出す。部内の全員がヘッドセットを着けて、画面の向こうにある社長室から配信されている映像に釘付けになった。



「このところ、特に今日は色々な情報が出回っています。好き勝手書かれてしまいましたが、何が本当なのか、見聞きしたことが真実なのか。皆さんなら判断できると信じています。それを前提として話そうと思います」


 本当に、好き勝手書かれたものだ。

 隠し子なんているはずがない。女性遍歴を書かれて、誰が得をするのだろう。


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