溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~

「お願いできないかな。無理強いはしないけど、他に貰い手なくて」

「そんなはずはないですよ。社長からのお土産となれば、社内外の女子が争奪戦を繰り広げるはずです。私である必要は」

「ありますよ」

「……どのような?」

「会社のデスクに飾ってくれたり、大切にしてくれるでしょう?千夏ちゃんはそういう子だからね」


 確かに、いただきものは大切にするほうだ。

 入社時に配られた社章も、1度も無くすことなくジャケットに着けている。
 家に帰れば、入社式のパンフレットや撮影された集合写真もある。


 1年目、社会人になって早々にできた、他社に勤める元カレからもらった指輪も。



「本当に私が頂いてよろしいのでしょうか」

「是非、どうぞ」

「それでは、ありがたく頂戴いたします」

 預かった書類と化粧箱に入った透明感のある鳥を抱えて、再びエレベーターに乗った。


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