溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~
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「本当に最低な男。葛城社長のほうが何倍もいいよ。千夏もそう思うでしょ?」
と、乃利子に言われて肯定してしまった。
おそらく無反応が返されると思っていた彼女は、私の答えに驚いていたけれど、それ以上何も言わずに駅のカフェで他愛ない話をしてから帰った。
そこまでが昨日の話。
一部始終……最後の乃利子との会話を除いて葛城社長に報告すると、彼は怪訝な顔をした。
「まさか白埜さんにそれを言うとは」
「驚きました。本当なのか分かりませんが」
「事実ですよ、報告は受けています」
「どうされるおつもりで……」
浅く腰かけていたデスクから離れ、私へ向かってくる1歩1歩に決意を感じる。
「勝機ならとっくに見出しています。譲るだとか買収されるなんてことは、1万パーセントありません」
不敵に微笑み、私の横を通り過ぎた社長は秘書を携えて外出してしまった。
ゆるやかに動いた部屋の空気が、彼の香りを引き連れて。