溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~


「事前読者アンケートの“取材をしてほしい社長・年間1位”に選ばれたご気分はいかがでしょうか?」

「これは素直に嬉しいです。私を知ってくださる方が増えるのは、回り回って商品にも還元されるわけですから」


 ゆるやかなパーマの黒髪。スタイルの良さが垣間見える洗練された服装。
 少しも威圧のない笑みが、女性記者を射抜いたのが見える。


「最も多かった質問の1つが、葛城社長の好きなタイプと現在のお住まいについてだったのですが」

「普通ですよ。世の男性が望んでいるようなタイプの女性とそんなに変わらないと思います。住まいは都内のマンションで、間取りは4LDKとサービスルームです」

「随分と広いご自宅ですね」

「ええ、将来親と同居するかもしれませんから」

 ここまでは順調だ。あらかじめインタビューの内容をもらっていた通りで、何ら問題はない。
 自宅については、間取りくらいは明かしても構わないと言うのだから、広報としてはそれ以上何も言えなかった。



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