溺甘プレジデント~一途な社長の強引プロポーズ~


「どうしました?」

 お疲れさまですと会釈して、自席へ戻ればいいだけなのに脚が言うことを聞いてくれない。
 頭では分かっているのに、心が私をこの場に縛り付けている。


「広報の子たちが話していましたが、桃園社長から贈り物が届いたそうですね。さすが大社長がやることは素敵です」

「そ、そうですね」

 愛想も抑揚もない、棒読みの反応を返す。


「何が届いたのかと思えば、俺が千夏ちゃんにあげた鳥と同じだっていうから、もっと驚きましたよ」

「……」

 ちらりと見やると、やはり感情の読めないポーカーフェイス。
 怒っているでもなく笑っているでもないフラットな感情を見せられても、正しい反応に迷う。


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