溺愛されたお姫様


「…高宮 秦(たかみや しん)」

「え?」

なんで急に名前を言ったの?

「お前が言ったんだろ

俺のことを知らない、と」

私が思っていたことが分かったのか、高宮 秦はそう教えてくれた。

「あぁ、そういうことね

あと、さっきから気になってたんだけど私のことをお前とか言わないでくれる?


私にだって、名前ぐらいあるわ」

そう、私にだって名前はある。
あまり好きではない名前が……ね。


「名前はなんて言う?」

「…………白野 雫(しらの しずく)」

高宮 秦は名前も知らない女に
告白じみたことをしてきたのかしら?


「雫、言っておくが
お前の名前は知っていたからな」


「じゃ、何故聞いたのよ」

名前を呼ばれて胸が高鳴ってしまう。

だけど、それは仕方がないのよ。
久しぶりに下の名前を呼ばれたから……

ううん。
誰も私を見てくれなかったのに高宮 秦だけは私を見て話してくれる。

そのどちらも、
私にとって嬉しくて……。

そして
・・・・
とても怖かった……。


「雫の口から名前を聞きたかった

何故、そんなに怖がっているんだ?」


な、なんで私の些細な変化に気がつくの?

誰も気づいてはくれない小さな変化に…。


「怖がってなんかないわよ」

動揺を隠すように下を向きながら話す。
それ以上、話すのは危険だ……。

私が私ではなくなってしまう。
今まで作ってきた“私”が剥がれ落ちてしまう。

なんで、会ってすぐのこの男……
高宮 秦にここまで心を開きかけてしまうの?

こんな気持ちを無理やり閉じ込め、
私は逃げるように高宮 秦から離れようとした……のに
なんで私は抱きしめられているんだろう?

気づけば高宮 秦の腕の中にいた。







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