大悪魔さんのターゲット。
何言ってるの‥‥!?私。
さっきから三上くんの相談を聞いている。三上くんは私が朝山琴だと言うことに気づいていなさそうです。

「あと、紅音くんって、ネガティブなんですか?」

「え‥‥」

「さっきから聞いてると後ろ向きな考えばっかりに見えるのですけど‥‥」

「俺は悪魔"きどり"だからね。」

やっぱりそうなんですね。

私はあなたが無理して悪魔を演じてるの知ってる。

でもね、おどけて

「悪魔きどりってどういう事ですか?」

「俺は紅音ちゃんって呼ばれたくなくて、周りから嫌われ者になりたくて、悪魔って名乗るようになった。

でも、悪魔も間違いじゃなかったんだよ。」

苦笑いしながらそう話す彼。

「悪魔じゃなきゃ、好きな人にもう1度会うことはできなかったと思ってる。


おそらくね、昔からなんだ‥‥



今もその初恋の子が好きなんだ。俺って執着心1番強いから」

彼はそう言って笑っていた。

私はあなたにこう聞きたい。

「その人の名前は何ていうの?」

でも、聞けなかった。


彼は笑いながら泣いていたから。
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