大悪魔さんのターゲット。
そして、君のいない中学生活が始まった。

俺は学校をサボったり、机に突っ伏したり、髪の毛をきりに行かず伸ばしたりして、いつしか独りになっていた。

「‥‥友達なんていらない。」

そんなことを考えるのはいつぶりだろう。

俺は彼女がいなくなった後、ずっと彼女のことを考えていた。

なにしてるのかな‥‥

他の子と仲良くしてるのかな‥‥

そんなことばかりね。だから、君がいなくなってやっと気づいたんだ。

ー彼女の事がずっと好きだったんだよ。ー

だから、面倒だって、迷惑事だって受け入れられた。

今だってそう。彼女のことを諦めてなんていない。執着心が強いのなんて、そんなの俺が一番わかってる。初恋の彼女をおいかけてるなんて誰かに言えば笑われるだろう。

「紅音くんって好きな子いないの?」

高校になってよく聞かれる。俺は初恋の彼女が今でも好き。なんて、悪魔な考えをする俺が素直な言葉言えるはずもなくて

「今はいないよ」

そう答える。そしたら俺に告白する人が増える。でも、俺は何らかの理由を付けて、弱み握ったりして脅して彼女を作らずここまで来た。

だって、もし彼女とまた出会えたら‥‥

その時隣にいる人が俺で笑ってくれるなら‥‥

そんな最高なことないと思う。

まるで夢のような話だけど



「夢の中だけでもいいから。見させてくれよ‥‥。


君の彼氏が俺である世界をさ‥‥」

いつしか彼女の名前は薄れて、今じゃ夢でも思い出せなかった。

でも、もう違う。あのホストに来てくれた女の人が教えてくれたんだ。

「ねぇ、紅音。私の名前覚えてる?」

「あぁ、覚えてるよ。」

俺は、目を開けて天井に向かって手を伸ばした。

「やっと、思い出したよ。彼女の名前。
彼女の名前はもう忘れない。」





ーー

「私の名前はね、朝山琴って言うんだ。よろしくね!紅音くん!」
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