呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
誕生日が週末の日曜日だったから次の日の今日もいつものように一番出勤。
休みだし、と日付が変わるまで何かに期待して眠れなかった為寝不足だ。
それでもいつものようにバスに乗り込み、各家庭の指定バス停留所を回る。
今日はぞうさんバスのコースが担当だ。
こっちの方面は分譲地が多く、近くに新しく開拓しているところもあり、そこが出来たならば又園児が増えるかもしれない。
「「ひろせんせい。おはようございます。おかあさん、いってきます」」
停留所に着くと、一旦バスを降り子供達と向き合いながら朝のご挨拶をする。
振り向かせて、一緒に待ってくださっていたご家族にも行ってきますの挨拶をさせる。
それから指定された席に座り、次の停留所を目指す。
いつもの朝。
変わらない日常の筈だった。
停留所に着くと、バスを止めて、子供を迎えにステップを降りる。
一番出勤のこの時間は通勤途中の人も多く、いつもなら特に気にすることもなかったある通勤途中のカップル。
よくあるその風景。
そのよくある風景なのに、近くを歩いていたカップルが目に入った。
正しくは、男の方が目に入った。
本来なら、こんな場所にいるはずのないその男。
子供達に名前を呼ばれた瞬間、男が振り向き、視線がぶつかる。
少しくらい狼狽えてくれたら良かったのに。
その一瞬合った視線をすぐに外して子供達に向き合う。
「はい、おはようございます。きちんと座ってねー」
いつもと変わらない声を心掛けて、子供達を席に座らせると、バスは又次の停留所を目指して走り出した。
なんとなく、再び彼の姿を見ることが出来なかったから、彼がこちらを見ていたのか、興味もなく行ってしまっていたのか、
私は知らない。
週明けの今日はスモックなんかの荷物が多く、小さいからだに大きな荷物を抱えた子供達がよろよろしながら椅子に座ろうと頑張る姿は、悶えるほどに可愛すぎる。
少しだけ、目の奥がツキンと痛むが、そんな子供達に救われた。
今はまだ、泣くわけにはいかないから。
その日から彼に連絡することが出来なくなって、時間がたてばたつほど連絡しづらくなり、そのまま更に時間だけが過ぎていった。
こーゆうの、自然消滅っていうのかな……。
あっそうか、もしかしたら始まってすらなかったのかもしれない。
連絡を取らなくなってから1ヶ月が過ぎた。