呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。
※ ※ ※
彼と会ったのは、2年前の秋だった。
幼稚園のある最寄り駅に隣接されているコーヒーショップに毎日寄るのが私の日課だった。
仕事は充実していても、押し寄せる体力的な限界を少しでも回避させようと朝から私は甘ったるい糖分をとる。
ただ、甘いものが好きなだけなんだけど。
常にブラックを頼む彼は私がこれを飲んでいると、無表情な顔が少し歪む。
『うえっ』
って、ポーカーフェイスの顔から聞こえてきそうになるのが面白くて、私はいつもこれを頼む。
キャラメルフラペチーノを片手にほんの少しの朝の活力タイム。
その日は運動会の準備で大忙しで。
毎年のこととはいえ、残業続きの毎日にふらふらになっていた。
そのうえ1ヶ月連続の一番出勤。
削られ続ける体力と睡眠不足で限界で。
いつものようにドリンクを買い、外に面するカウンターに腰かけようとドリンクをテーブルに置いた瞬間めまいがした。
頭の中が真っ白になって方向感覚がなくなった。
手がテーブルに置いてあったから、掴んで支えなきゃ、と思うも力が入らずそのまま体が傾いて行くのをぼんやりする頭で流れる景色を眺めていることしか出来なかった。
倒れるって、こんなかんじなんだな。
なんて思っていたら、ガシリと肩を支えて体を受け止めてくれた人がいた。
「うぉっ、ビックリした………………」
混雑する店内で近くで席を探していた男の人が、彼だった。
たまたま私が座ろうとドリンクを置いた席の1つ空けて横に座ろうとしていたみたいで、突然倒れてくる私を受け止めてくれた。
助けよう、とか思っていた訳じゃなく。
視界に突然入った私が傾いていたから思わず手が出てしまったそうで。