呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。

「なっちゃん、拓磨君は?」

「ふふー今日は龍磨と実家にいってる。はぁーこの解放感!のんびりコーヒーなんて贅沢すぎる」

「えぇーやっぱり子育てって大変そうだね。ゆっくりしてね」


カウンターに座り、なっちゃんがにこやかに笑う。


カラン、と落ち着いた音色が響いてお客様が入ってきた。
なっちゃんに、行ってくる、って目で合図をして接客に向かう。


「いらっしゃいませーテーブルどうぞ」


休日なのに、スーツ姿で現れた二人の男性。
お水を用意しておしぼりを渡す。
ありがとう、といって手を出して受け取ってくれるなんてなんて紳士な。

「ご注文は?」

「ブレンド、お前は?」

「うーん、おっ、ラッキー今日ケーキあるじゃん。なぁ食っていい?」

「時間、そんなにねぇぞ?」

「ダッシュで食べる。お姉さん、まだ残ってる?ガトーショコラとブレンドで」


ふふ、男の人がケーキを悩むなんてなんか可愛い。
しかも、限定商品だってこと知ってるなんて通だな。


「はい。大丈夫ですよ。かしこまりました」


まだ働きだしたばっかりだけど、こうやってここの味を知ってもらえる人に出会えると嬉しくなる。
でしょ、でしょ!って話しかけてしまいそう。


「オーダー入ります。ブレンド2つとガトーショコラです」

「はい、ケーキ、先に持ってっといてくれるかい?」

「はい」

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