呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。

強引に引きつられてつれてこられた先は近くにあったパーキング。
車?
手を離されて、雄大は精算をしているようだ。


自分には縁の無い場所で思わずキョロキョロと見渡してしまう。
あっ、あの車好きなやつだ。

何となく、あの女子特有の『いい感じ』な雰囲気が好きで。昔の彼氏とディーラーに立ち寄ったときに目に入った車だった。

バリッバリのスポーツかーが好きだった当時の彼氏をほっといて私はこの車に興味津々だった。

その時知ったレガシィワゴン。
しかも、濃紺。

やっぱり、格好いい。


見惚れていると、雄大が迷わずそこに近づいた。


えっ?


ピッ、と解除の音がして助手席の扉を開けられる。
「乗って、」

おずおずと車に近付いて雄大を見上げた。
「……いいの?」

ん、と小さく答えて再び手を引き寄せられ車に乗せられた。
初めて乗った憧れの車。
しかも、雄大の車だなんて……

雄大が回り込んで運転席に座る。
「シートベルトだけして、」

そう言われて慌ててシートベルトをつけた。

うわっ、緊張する!
しかも車ってこんなに近かったっけ?

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