呆れるほどに不器用な恋を、貴方と。

暫く無言のまま車を走らせて、ぼんやりと窓の外を眺める。
普段車なんて乗らないからどこを走っているのかさえも分からない。


車のなかをキョロキョロ見渡したい好奇心を押さえるために外に目をやる。


「…………気に入らなかった?」

雄大がポツリと溢した意味が分からなくて、外を向いていた体を、視線を、雄大に向けて首をかしげた。

「……この車、好きなやつじゃなかった?」

「えっ???」

私の好きな、ってこと?

「…………好き、な車だけど……」

何故か雄大の頬が赤く染まる。

「っ、良かった。…………はぁ。駄目だな、車の事って分かってるのに反応しちまった……」

何?えっ?

「ねぇ、何で私の好きな車なんて知ってるの?」

「あーーーー。前にお前テレビ見ながら言ってたんだよ。ディーラーで一目惚れしたって。突っ込まなかったけど、あれだろ?どうせその時の男と見に行ってたんだろ?」

女同士でそんなとこ行く分けねぇし。
なんて、ふて腐れながら雄大が話した。

は?

そんな話したっけ?
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