今夜、きみを迎えに行く。
1*water
◇
その店は、古くて暇で、お客さんはほとんど来ない。
コーヒーと紅茶、サンドイッチとナポリタンとパンケーキ。
メニューはたったそれだけ。
だけど店長であるトミーさんの作るそれは、どれも魔法みたいに美味しくて。
その店にいるだけで、なぜだか心がほっとする。
いつのまにか、そこはわたしの居場所になった。
わたしはそこで、宿題をしたり、美味しいコーヒーの入れ方を教わったり、トミーさんの弾くピアノを聞いたり、素敵なお客さんに出会ったりした。
そこは、わたしの秘密基地。
大切な人が、大切なことを教えてくれた場所。
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