こっち向いて、ダーリン。【改訂版】

近づいた気がするわたし

──結局そのままトイレにこもってしまい、気づいた時には昼休みがとっくに過ぎていた。


五時間目は音楽。

音楽はテストというテストもないし、無理に出ることもないかな。気持ち的に、今から行ってみんなの注目を浴びて明るく振る舞うのも、結構きつい。

けどこのままずっとトイレにいるのもな。


五時間目が終わるまでいるのも辛いものが………あ。


音楽ってことは、ダーリン屋上にいるかな?!


わたしったら、またダーリンのことが頭から抜けてたよ!恋する乙女のはずが!森野の告白を断る理由だって、一番はダーリンが好きだからってなるべきなのに!


だめじゃないの咲良!しっかりしないと!学校で落ちるのが久しぶりなんて、言い訳にならないんだからね!


よし!ここから屋上へは階段をのぼってすぐだし、みんな授業中だからきっと行ける!


ダーリンがいてもいなくてもこんな気分だし、とにかく屋上に行きたい!


思い立ったわたしは即行動。

トイレからそっと飛び出し、できるだけ音を立てないように、でもできるだけ急ぎ足で屋上に向かった。



「──ダーリン!」
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