こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
逢川咲良の疑似恋

学校の中でのわたし

教室の窓から見えていた桜が、もう跡形もなく散っている。

春真っ盛りだと言うのに、暖かい日差しはギリギリわたしの席まで届かない。

こんなにいい天気を堪能できないことが恨めしく思う。


高校二年に進級し、このクラスになって二週間。


未だに担任教師は席替えをする気がないのか、わたしは教卓と向かい合ったまま。

名字が「逢川(あいかわ)」のせいで、何度経験したことか。

今時なんだって男子と女子で分けるかな。


自動的に女子の一番は先生と見つめ合える特等席になる。とんでもなく迷惑な話。

慣れたと言えば慣れたけど、いい加減席替えしようよ、先生。

─と、念を送ってみる。


「…なんだ逢川。言いたいことでもあるのか?」

「山ほどあるけどないと言えばないと言いますか、と言うか」

「じゃあこれでホームルーム終了!」


ちっ。気づけ!
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