こっち向いて、ダーリン。【改訂版】

俺の知らない色の世界

次の日。


朝っぱらから教室のドア付近で、なにやら騒がしくしている逢川に気づく。


「めっちゃ痛いからそっとしといてね」

「大丈夫なの?昨日はお腹痛い、今日は虫歯、なんか悲惨…」

「同情するならチョコをくれ!」

「あ~はいはい。たいしたことないんだね」

「こらぁ!」

「あっ、咲良っ…!」

「え?」


──。


っ、てぇな。


話に夢中になっていたらしい逢川の背中が、教室に入ろうとした俺に突撃してきた。


「ダーリ…!じゃない、深瀬くん!」

「…」


…顔に湿布って、どんだけだよ。


「ちょっと咲良っ、謝りなよ!」

「え?ああ、そうか。ごめんね深瀬くん、大丈夫?」

「…」


あいつら、女相手に加減もしねぇのかよ。最悪だな。

見るからに痛そうじゃねぇか。

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