こっち向いて、ダーリン。【改訂版】
「深瀬くん?」

「…別に」


謝らなきゃいけねぇのは、むしろ俺じゃねぇのか?


昨日の今日で何事もなかったかのように、至って普通の逢川。


痛々しく湿布が貼られている顔を見ていられず、目を逸らし自分の席に向かった。


『可哀相』だなんて思ってしまう自分に腹が立つ。それは俺が思っていい感情じゃない。


諸悪の根元は、紛れもなく俺なんだから。




─────



その後も、逢川を視界に入れることができずに過ごした。


ただ、昨日よりあいつが大人しい気がしていた。


俺に話しかけてもこない。何かあったのかと心の隅で気にかける。


…やっぱ昨日のことが原因で…。


─っ、くそっ!!


自分の思考にやたらとムカつき、昼休みになると昼食も取らずに屋上で昼寝を開始。


それでも中々感情が落ち着かず、本格的に寝始めるまで時間がかかった。


いいわ、どうせ五時間目は音楽だ。元からこのままサボるつもりだったんだ。


─と、夢も見ずに爆睡していたらしい俺。


眠りが浅くなった時、頬をなでる風に目を覚ました。

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