完璧な彼は、溺愛ダーリン
「ごめん。でも、最初は本当に好きだとか思ってなかった。
でも、知らない間に好きになってた。
それを言えなくて、栞に隠してた」
「……それで?」
怒りを抑えているような低い声。
普段明るい栞からは想像もつかない。
「もう、嘘を吐きたくなかった。栞にも、自分の気持ちにも。
だけど、私葛木さんと付き合わないよ」
「え? なんて……?」
「自分の気持ちを誤魔化したくなかっただけ。
栞にそれを知ってもらえたなら、私はそれでいい。
栞の望みが付き合って欲しくないなら、私はそうする。
それでいいよ。最初から葛木さんの存在は夢みたいだって思っていたから」
「……」
栞は眉間に皺を寄せたまま、視線を伏せる。
それから、ぼそりと呟いた。
「……それじゃ、私が引き裂いてるみたいじゃない」
「え。違うよ、私の意思だよ」
「バカにしないでよ! 両思いなのに!
これ以上惨めにしないで!」
大きな声で言い切ってから、はあっと息を吐くと栞は口元を手で覆った。
栞の目から零れ落ちる涙。
それから、栞はゆっくりと話し出す。