完璧な彼は、溺愛ダーリン
「……うん。大切にする」
「そうしてあげて。それじゃ、俺は帰るよ」
「え」
「これだけ言いたかっただけだから」
そう言うと、伝票を持って行こうとするから慌てて引き留めた。
「望くん!? 私、支払うよ!」
「いらないいらない。女に出させるの好きじゃないんだよね」
ニッと白い歯を出して笑った望くんは、伝票をひらひらと振るとそのままレジへと向かった。
そして、すぐに店を後にした。
ほとんど飲んでいないコーヒー。
私もそうだ。
アイスティーを頼んだはいいけど、氷は溶けてグラスは汗をかいている。
薄まったそのアイスティーを一口飲む。
美味しくなんてなかったけど、何かを口に入れたかった。
最後まで優しかった望くん。
そんな彼に私は酷い事をしてしまった。
安易に他の男を探そうとしなければ、彼を傷付けずに済んだのに。
果たして本当に自分が葛木さんに相応しいのか、わからなくなる。
こんなに周りを傷付けているのに、自分だけが幸せになってもいいのだろうか。
私はカバンを取り出すと、財布を開く。
その中に入れていたのは。
――――葛木さんの番号が書かれた名刺。