死神女子高生!
下駄箱のラブレター
「あ」

ぽとりと何かが下駄箱から落下した。
反射的にキャッチしようと伸ばしたあたしの手をすり抜け、それは靴のすぐ側に滑り込んで止まる。
薄汚れた色の床に映える真っ白で平たいそれは、何だかやけに眩しく感じた。

何だろうこれ、と思いながら拾いあげてみると、乾いた紙の感触とわずかな膨らみがあった。
すぐにピンと来た。これは封筒だ。

(下駄箱に封筒って……ずいぶん古典的だな)

あたしはそう思いながら、差出人の名前を確認しようと真っ白な封筒をひっくり返した。

「あ~さ~か~、お待たせ!早く帰ろ~っ」

しまった。
あたしは肩をぎくりと跳ねさせ、確認する間もなくすぐに封筒を手提げに突っ込んだ。
声を掛けてきた張本人はにこにこと平和そうな笑顔で鞄片手に小走りでやってくる。
内心動揺しつつも、封筒のことは勘付かれたくないので、あたしは平静を装ってにっこりした。

「ミコト、早かったね」

彼女、白石ミコトは、同じクラスであり現在席が隣同士にもなっている、あたしの昔からのおさななじみだった。

ミコトが早めに来てくれたのは嬉しいけれど、さっきまで担任に呼び出されて説教されていたはずなのに、いくらなんでも早すぎはしないだろうか。

悪いけどちょっと待ってて、と言われて下駄箱でおとなしく待っていたのが十分前、ジュースを買いにコンビニでも行こうかと思い立ったのがついさっきだというのに。
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