強引部長の独占ジェラシー
7、付き合っているのか?



翌日。
深いため息をつく暇もなく、私は会議室にやって来た。


今日は年に2度行われる全体会議の日であった。だだ広い会議室の中にスーツ姿の人が集合し、緊張感を纏いながら席につく。営業部も広報もデザイン部も全て集まるのはこの日だけだ。

普段着慣れていないスーツは気を引き締めるのには十分だけど、身体に張り付くようでとても着心地がいいとは言えなかった。


配られたレジュメに目を通す。緊張感漂う雰囲気の中、堂々と社長が入って来ると、同じように社長の後に続いて入って来た部長が片手でぴしゃりとドアを閉めた。2人が揃うと、周りの人の背筋が大きく伸びる。

大きなスクリーンに示されたパワーポイントを読み上げるのは部長で、その圧倒的存在感を前に私は存在を消すかのように視線を下げていた。


タイミングが悪い。


会いたくないと思う時に限ってこうなってしまうのだから。

向かいには、昨日告白されて逃げたままの河原くん、目の前には話を聞かれていて気まずくなった部長がいる。

部屋が薄暗く顔がしっかり見えないのが唯一の救いで、私は会社のデータが細密に書かれたレジュメを見つめ、部長の声を聞きながら考えていた。





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