強引部長の独占ジェラシー



「ご馳走様」


私の作った料理をキレイに食べてくれた部長は、また丁寧に手を合わせて箸を置いた。


「久しぶりにしっかりした朝食を食べた」

「お口に合って良かったです」


満足げな表情をしてそんな言葉までつけてくれる部長に自然と笑顔になる。すると、部長は茶碗を持って立ち上がった。

私も合わせて立とうとすると「休んでていい」と言って私の分の食器も持ってキッチンに向かう。


いいのかな……?


そう思いつつ、お言葉に甘えていると部長は食器を片づけて後にコーヒーを入れてくれた。


少し甘さの効いたコーヒーはちょうどよくて、私の心を落ち着かせてくれる。

なんだか夢みたい……。

部長と一夜を共にして、一緒に朝ごはんを食べたなんて。

思い返すだけでかっ、と顔が赤くなってしまうような出来事。


それでも、期待してはいけない。



私はそれを自分に言い聞かせる。


そして、赤くなった表情を隠すようにコーヒーを飲むフリをしてマグカップで顔を覆ったのだったーー。


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